万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2024/03/05
会社への貸付金と生命保険の活用

将来の返済請求に備えて、生命保険を活用することの有用性を教えてください。

Q
今月のご相談

 会社に貸付金がある親族外役員がいます。貸付金額は5,000万円です。その役員との関係性は良好とはいえず、過去に貸付金の返済を請求されたこともありますが、資金繰りに余裕がなく、まだ返済を行えていません。

 先日、付き合いのある生命保険会社の担当者から、その役員の万一に備え、生命保険の加入を勧められました。役員に万一が発生した場合、会社への貸付金はどうなるのでしょうか? また、生命保険の有効性についても教えてください。

A-1
ワンポイントアドバイス

 役員に相続が発生した場合、会社への貸付金は貸金債権として相続財産に加算されます。相続人の納税負担が増えることになりますので、貸付金の返済を請求される可能性も考えられます。このような事態に備える方法として、生命保険の加入は有効といえます。

A-2
詳細解説
1.役員に相続が発生した場合、貸付金はどうなる?

 役員に相続が発生した場合、会社に対する貸付金は貸金債権として相続財産に加算され、相続税の対象となります。相続財産とはいえ「債権」であるため、貸付金を相続した相続人の手元にすぐ現金が入るわけではありません。

 役員の相続人からすると、すぐに現金化できない財産に対して相続税が課税され、納税負担も増えることになるため、相続人が会社に対して貸付金の返済を請求する可能性も考えられます。

 その場合、資金面で会社に余裕があればよいのですが、返済が困難なケースや無理に返済を行った結果、資金繰りが悪化し、会社の存続が危ぶまれることもあるかもしれません。

2.生命保険の有用性

 上記1.のような事態に備える方法として、生命保険が有効です。【契約者=会社、被保険者=役員、受取人=会社】とした生命保険に加入します。生命保険に加入することで、役員に万一が発生した場合は、死亡保険金を原資に貸付金を返済することが可能です。

 死亡保険金は法人税の課税対象となるため、法人税を考慮した保険金額を設定するとよいでしょう。
 今回は保障重視ということで掛け捨て保険を想定し、保険料の損金は無視して試算すると、以下のとおりとなります。

例)法人実効税率30%、貸付金額が5,000万円の場合
5,000万円÷(100%−30%)≒7,143万円

 会社に対する貸付金がある場合、たとえ貸付を行っている役員との関係が良好であったとしても、相続人が会社に対して貸付金の返済を求めるケースは十分に考えられます。

 役員の万一に備え、生命保険への加入をご検討されることをお勧めします。

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